STORY13.「優しい味の小さなパン屋さん」
週に1度、金曜日に開店、お子さんの、名前を組み合わせて名付けられたいう「Haru-Kanade」。木津川市で最も新しい住宅地「城山台」にその店はあった。『歯がなかなか生えてこなかったお子さんのため、栄養のあるものをたべさせたい』と、パン作りを始めたのがこの道に入ったきっかけだとか。まるで自宅に招かれたような店内には、子供さんも安心してたべることができる柔らかい生地でつくられた栄養満点なパンが並ぶ。
実は、「ミル弁グランプリ 10店舗競演」なんて無理かもしれない・・・。メンバー内でそんな諦めの空気が漂いだした頃、中嶋さんから連絡が入った。『こんな遠いところまで何度もチラシを入れに来てくれて・・・、私達こそ木津川市を盛り上げていかなければと連絡をした。』と、参戦の理由を話してくださった。週に1度の開店とは知らなかった失礼を、そんな風に言ってもらい涙が出るほど嬉しかった。「一押しパンはなんですか?」とお聞きすると、『にんじんパン』と即答された中嶋さん。自身のお子さんにも食べさせたパン作りの原点ともいえる味。今ではお店の看板商品になっている。
そのにんじんを利用したレシピや、私たちのような世代のためにボリューム感を出したいと照り焼きチキンを贅沢に乗せ、木津川市産の野菜を入れたフォカッチャを考案して完成させたい!と、お手製のイラストを見せ、語ってくださった。取材時も小さなお子さんの手を引いたママさんが買い物に来られていた。そんな風には全く見えないが、一番上には18歳になる娘さんもおられるそうだ。きっと、パンだけではなく、先輩ママとして頼りにできるお店なのだろう。子育てにお店にと、さぞお忙しいはずだ。それなのに試作をくりかえし、レシピ開発に取り組んでくださったそうだ。それはきっと大変なことだったに違いない。そしてついにやってきたお茶の京都博当日、中嶋さんがミル弁を持って会場に来てくださった。
『とうとう完成したよ!』と見せてくださったのミル弁は、以前拝見した時よりも数倍進化。私たちの想像をはるかに超えたものだった。何度も改良をかさね完成した、”木津川市産の野菜をたっぷりフォカッチャ”。一番上には鹿背山の柿を使ったデザートまで付いたとても綺麗なお弁当だった。『家族の夕食が何度かミル弁になった。』といつもどおり優しく笑いながら話された時、「本当にスゴイ!」と思った。もっともっと美味しくしたい!と追求された中嶋さん。『パン作りも子どもの成長と共に進化したい。』と夢を語る優しい、眼差しは、訪れる人をいつも温かく包んでくれるはず。ぜひ金曜日!訪ねてみてください。